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「小春原日和の育成日記」第1巻 感想 [ラノベ感想 小春原日和の育成日記]

「小春原日和の育成日記」第1巻の感想です。
一部ネタバレを含みますので、そちらは隠してあります。

小春原日和の育成日記 (電撃文庫) 小春原日和の育成日記 第1巻
著:五十嵐雄策
画:西又葵
出版:アスキー・メディアワークス
ブランド:電撃文庫


「乃木坂春香の秘密」の五十嵐雄策さんと、「それは舞い散る桜のように」「SHUFFLE!」の原画等を担当された西又葵さんが強力タッグを組み、(おそらく)電撃文庫が満を持して送り出されたこの作品。
五十嵐先生らしいライトで読みやすい文章に、西又先生の可愛くて魅力的なイラストが、強力な後押しをしています。

主人公の晴崎佑介は、築七十年でトイレ&風呂共通の貧乏アパート「桜乃日和荘」で、管理人代行のようなことをやっている高校1年生。ヒロインの小春原日和は、類い希な才能と呼べるほどの地味地味っ娘。もちろん地味とはいえ、お約束通り日和は美少女です。
二人を中心とした、ほんのりあったかいラブコメディです。

日和はあまりにも地味すぎるため、周りからはいること、つまり存在すら気がつかれないというA・J(Abusolute Jimi)フィールドを標準装備しています。
学校のホームルームではナチュラルに出欠確認を飛ばされ、自動ドアの前に立てば扉が開かない。スーパーのレジでは、レジ打ちのおばさんに気づいてもらえず泣く泣く買い物をあきらめる。
そんな境遇にいること、基本的に人見知りが激しいため、友達は金魚の桐乃ちゃんだけです。
どこぞのツンデレ妹ではありませんので、注意が必要です。

そんな日和も佑介のことは「おにーちゃん」と慕っていますし、佑介も年が近く、またお互い両親がそばにいないこともあり妹のように可愛がっています。

そんな日和が、佑介相手に爆弾発言をしたことから物語は動き始めます。

わたしを……おにーちゃんの手で……“おとなのじょせい”に、して、ほしいんです……っ

ぐはぁ!(吐血)

私もこんなセリフ言われてみたい。

さて、頭の悪い可哀そうな人は置いておくとして、もちろん実際の意味はそんな(どんな?)意味ではありません。日和が超お嬢様学校である、私立姫乃宮女学院に奨学金枠での入学を目指すため、お嬢様にふさわしいおとなのじょせいになるために協力をお願いしたという意味です。

「お嬢様=おとなのじょせい」という図式は、若干無理がある気がしますが、そのことを快諾した佑介や、アパート住人の5浪音大志望の霧嶺桃子(23)、口が壊滅的に悪いニート美崎音色(17)、立派な物言いをしながら無職で就活すらしない厳島又三郎(45)が、それぞれが隠し持っていた得意分野で協力し、合格を目指し特訓をする、というのが大筋のストーリーとなります。

最終的にどうなったか、はネタバレ部分に譲りますが、肩の力を抜いて気楽に読める作品だと思います。
基本的には、良くも悪くも五十嵐先生らしい読みやすい小説ですし。
随所に五十嵐先生の代表作「乃木坂春香の秘密」とのクロスオーバーが見られたり、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のネタがちりばめられていたりと、内容以外にも楽しめる要素が含まれています。
気楽に楽しいものが読みたいというときに、お勧めの1冊です。

シリーズものとしてまだまだ続くようですし、桜乃日和荘にもまだまだ個性的な住人が隠れているようです。もちろん、今回登場の3人もポテンシャルを発揮しているとは言い難いです(特に美崎音色)。
今後の展開を期待しましょう。


はい、ネタバレ感想です。

皆さん気がついていると思いますが、結論から言えば日和は合格します。
元々この本の楽しみ方は、「合格するか」を楽しむというより、「なぜ姫乃宮へ行きたいのか?」という動機や、合格までの過程でおこるドタバタを温かく見守ることだと思います。
なので、このことは全くもって問題ないでしょう。
実際、全4章で構成されている本書ですが、第1章のラストで合格後に日和につけられる、姫乃宮での称号の数々が早くも開陳されているくらいです。

では、実際にその楽しみ方に即したとき、残念な点も散見されてしまいました。

後者は特に問題ないです。
五十嵐先生らしい、明るくそれでいてちょびっとエッチな展開盛りだくさんです。
まあ、正直なところ、主人公もヒロインも、そしてサブキャラも皆「乃木坂春香の秘密」のキャラにかぶりすぎている気もしますが。
性格もそうなんですが、祐介なんて口癖っぽいところ(台詞の冒頭に「あー」ってつけたりするの)なんて、まんま裕人ですし。
ま、そもそも「祐介」に「裕人」ですから、あえて狙っているのかもしれませんね。

ちなみに、乃木坂春香とのクロスオーバーというのは、完全に狙っているのがよくわかるシーンが多々あります。
具体的な記述はありませんが、祐介が通う学校は白城学園と思われます。
これは裕人や春香が通っている学校です。
「昔からの付き合いである年下の男子生徒をだまくらかして既成事実をつくり婿にしようとしている音楽教師」がいるみたいですが、これはどう考えても由香里先生です。
他にも、乃木坂春香で散見した学校名などが随所にちりばめられており、この点は私には嬉しいものでした。

前者については、作中で日和が理由を述べています。
祐介と一緒にいても恥ずかしくない、立派な女性になるためにも、“現代の姫”たる姫乃宮女学院に入りたいのだ、ということのようです。
正直、納得しづらいものがあります。
祐介ってそんなに凄いのか、という疑問がわくのです。
もちろん、日和はそう思っているのでしょうが、やはりこの動機が本書の肝であるわけですから、そう考えると少し弱い気がしてしまいます。

まあ、祐介にはまだまだ隠れた設定はありそうです。
そもそも日和が姫乃宮に行きたいと考えた直接のきっかけを与えたのが、姫乃宮の黄金色お嬢様こと、鷹匠光琉という少女なのですが、何故か彼女が祐介のことを気に掛けているようです。
このあたりは、今後の展開に期待したいですし、これによって1巻では納得しづらかった日和の動機が、補強されるかもしれませんので。

最後にどうでもよいお話を。
私は読んでいて、日和の声がどうしも、ゴットゥーザ様こと後藤邑子様のぽんこつボイスに変換されて仕方がありませんでした。
名前もそうですが、なんとなく雰囲気があの魅惑のボイスを呼び起こすんです。
気が早すぎて鬼が腸捻転を起こすまで大爆笑してしまいますが、もしアニメ化やドラマCD化をするなら、ぜひ配役は後藤邑子様でお願いしたいものです。
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