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「灼眼のシャナ」第5巻 感想 [ラノベ感想 灼眼のシャナ]

「灼眼のシャナ」第5巻の感想です。
一部ネタバレがありますので、そちらは隠してあります。

灼眼のシャナ (5) (電撃文庫 (0868)) 灼眼のシャナ 第5巻
著:高橋弥七郎
画:いとうのいぢ
出版:アスキー・メディアワークス
ブランド:電撃文庫


存在の力を喰われ、その残り滓である「トーチ」でありながら、その身に紅世の王が作り出した秘宝を備える「ミステス」となった坂井悠二と、紅世の王に従うフレイムヘイズ・シャナのアクションラブコメ第5巻です。

この巻では、シャナの過去、それもフレイムヘイズになる直前、およびなった際に起った事件が語られています。
きっかけは、メロンパン。
悠二がシャナに、なぜメロンパンが好きなのかを聞かれたことで、シャナが過去の幸せだったときの記憶を振り返るという形がとられています。
その代わり、今まで登場してきたメンバーはほぼ全員お休み。
悠二ですら、プロローグとエピローグでしか登場していません。

変わりに登場していますのが、幼き日のシャナとまだ契約前の“天壌の劫火”アラストール、シャナの養育係の女性ヴィルヘルミナ、戦い方を教える白骨・シロの面々。
また、今まで名前が出てくるも詳細不明だった、史上最悪の“ミステス”天目一個や、シャナではない“炎髪灼眼の討ち手”などが登場しています。

アラストールとヴィルヘルミナ、シロはそれぞれ異なる思惑を持ちつつ、新たにアラストールと契約すべき“炎髪灼眼の討ち手”を育て上げることに、全てを捧げていました。
そこに現れたのが、シャナ(この時点では呼び名はありませんが)でした。
彼らが長い年月をかけ、何度も失敗を繰り返しながら行ってきた“炎髪灼眼の討ち手”を育て上げること。
少女はその期待を違えることなく、順調に成長していきます。

そんな最中、偶然彼らの近くに来ていた“紅世の徒”に存在がばれてしまい、そこからアラストールと少女の契約という怒涛の展開が待っています。
そこに、天目一個も登場し、彼の持ち物であった“贄殿遮那”が何故シャナの持ち物となったのか、というエピソードが語られることになります。

この巻で明らかになったことは色々とあるのですが、その中の1つに、シャナの外見上の年齢が、およそ12~13歳であることが判明します。
作中ではっきりと明記されている訳ではありませんが、前後の流れからほぼ間違いないと思います。
どうりで幼い訳です。

色々な謎が判明しましたが、その代わりに新たな謎も追加されました。
この巻登場したヴィルヘルミナなどは、今後も登場しそうな雰囲気ですし、4巻で登場したヘカテー達とは、思っていた以上に複雑な因縁がありそうなです。
アクションに、ラブコメにと、どんどん面白さが増していくシャナ達に、目が離せません。



では、ネタバレ感想です。

シャナを巡る、各人の思惑が交差する、しかしその奥には限りない「愛」が存在する一時の営みが描かれていました。

アラストールは、先の戦いで失った“炎髪灼眼の討ち手”の後継を作る為、少女を育てます。

隠す必要も無かったと思いますが、ヴィルヘルミナは“夢幻の冠帯”ティアマトーと一にする“万条の仕手”と呼ばれるフレイムヘイズです。
彼女は、その“炎髪灼眼の討ち手”にアラストールのことを頼まれ、その友人の気持ちに応える為に少女の養育を請け負います。

最後に“白骨”シロ。彼は“紅世の徒”にして偉大なる王“虹の翼”メリヒムです。
彼は敵でありながら、愛して止まなかった“炎髪灼眼の討ち手”から、後継を育てることを、鍛えることを望まれ、その要望に応える為に、少女に戦い方を教えました。

彼らの長い年月をかけ、たくさんの失敗を繰り返しながら行ってきたことは、後にシャナと呼ばれる少女が登場することで、実現となります。
しかし、彼らはもう少し時間がかかる、いや、かけることで、言葉には出さずとも感じていたこの安らかな時間を、少しでも長引かせたかったのだと思います。
まるで本当の家族のような、心地よい時間を。

しかし、偶然“紅世の徒”の集まる組織“仮装舞踏会(バル・マスケ)”に気取られたことから、少女のフレイムヘイズとしての一人立ちの日は訪れてしまいます。
“炎髪灼眼の討ち手”の完成前に少女を殺そうとする“紅世の徒”達と、やはりそこに偶然現れた、強者との戦いのみを望む天目一個が、同時期に彼らのいる天道宮に集まってしまいます。

突然襲い掛かってきた“紅世の徒”達から身を守り、無事アラストールと契約を果たすために、少女は天目一個に対し、強者になり戦う代わりに、契約の場まで連れて行くよう交渉します。

契約を果たし、“紅世の徒”を退けますが、史上最悪の“ミステス”天目一個との戦いがいきなり少女を襲います。
天目一個は、その存在を感じることが出来ず、自在法を使わず肉弾戦でのみ戦うことが可能な相手でした。
それが結果として、少女には幸いしました。
強者を求める天目一個の目的、それは自らが作り出した“贄殿遮那”の使い手を見つけ出すこと、でした。
その強者を見つけ出し、役目を終えた天目一個は、“贄殿遮那”を少女に託し退場します。

これで終わりと思いきや、最後に“虹の翼”メリヒムとの戦いが待っていました。
愛した女のため、最後の仕上げとして少女と戦い、そして敗れたメリヒム。
彼の想いに応える為にも、少女はきちんと戦い、彼を打ち倒します。
そして、ヴィルヘルミナは、最後まで彼の愛を得ることが出来なくなってしまいました。

こうして、幸せだった時は終わりを告げ、少女はフレイムヘイズとしての人生を歩み始めました。

シャナがメロンパンを好きな理由ですが、甘いものが好きなシャナのために、ヴィルヘルミナが買い与えていたためです。
そして、メロンパンを食べるという行為が、その幸せだった時をシャナに思い出させてくれるからなのです。
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