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「スイート☆ライン」第1巻 感想 [ラノベ感想 スイート☆ライン]

「スイート☆ライン」第1巻の感想です。
例によって、ネタバレ感想は隠してあります。

スイート☆ライン (電撃文庫) スイート☆ライン 第1巻
著:有沢まみず
画:如月水
出版:アスキー・メディアワークス
ブランド:電撃文庫




「いぬかみっ!」や「ラッキーチャンス!」の有沢まみずさんと、PS2ゲーム「ふぁいなりすと」などで原画を担当された如月水さんのコンビで送る、ほんわか声優ラブコメディです。
有沢先生は、現代を舞台にしたファンタジー色の強い作品が多いのですが、今作は(今のところ)普通の現代を舞台にした作品になりそうです。

“熱い人”を応援することが大好きな熱血高校2年生・花沢正午は、アニメーション制作会社「オベロン」に所属するアニメプロデューサーである姉・花沢真弓と2人暮らしをしています。
頼りがいのある真弓のところには、アニメ製作に関わる人が集まってきており、声優さんなどが泊まっていくこともあります。
冒頭では、何故かバスタブの中で、メイド服を着て寝込む美少女・山川舞や、清楚で可憐な美少女・神楽坂はるかといった、若くしてすでに一線で活躍する声優さんが登場しています。

ある日、正午が学校から帰宅すると、隣の家で引越し作業を行っています。その場を取り仕切っているのが、姉の真弓。
真弓に命じられ、正午は引越し作業のお手伝いを始めました。
運び込む荷物から、男性が引越してくるものと思っていた正午ですが、隣人となるのは小柄で華奢な美少女、新島永遠(とわ)でした。
ちなみに、正午と永遠のファーストコンタクトは、永遠が「箪笥」の扉をあけて出てきた、というもの。

永遠も声優、しかも鄙にみる才能を秘めているのですが、極端に人見知りをする上、まれに見るほどの男性恐怖症という非常に難儀な性格をしていました。
その性格ゆえ、ある収録で大きなミスを犯してしまい、永遠は大物プロデューサーである豊国如意の怒りを買ってしまいました。
このままでは業界から追放されてしまうところ、真弓の必死の説得などもあり、2週間後に再試験が行われることになります。
それまでに、何とか男性恐怖症を治さなくてはいけない。
そのために、真弓は正午に白羽の矢を立てます。

永遠の才能を間近で見たり、真弓の、そして何より永遠の熱い想いを感じた正午は、ある手段を用いて永遠の男性恐怖症を治すことに挑みます。

冒頭に登場した舞やはるか、そして正午の友人であるアニメオタクの鎌倉裕之助も協力しつつ、ついに再試験の日が訪れるのですが、果たして結果は…。

軽快なテンポと、登場するキャラクター達が生き生きと動き回っており、非常に楽しい作品に仕上がっています。
次回以降がとっても楽しみです。



さてさて、ネタバレ感想です。

スタンガン標準装備って、どうよ?
上ではぼかして書きましたが、永遠が犯したミスというのは、共演した男性声優に対して、恐怖のあまりスタンガンを押し付けたというものです…(汗)。
まー、お話といえばそれまでですが、立派な傷害罪ですよ、永遠さん。

永遠の男性恐怖症を克服させるために、正午がとった策。
それは、正午と永遠が2週間の間、一緒に住むという方法でした。
もちろん、ただ一緒に住むわけではなく、「家族」として接することで、怖くない男もいるということを教えようとしました。
そのための手段として、永遠に自分のことを“お兄ちゃん”と呼ばせます(笑)。
お前もか、お前も妹が大好きか!
俺の妹はこんなに可愛いに決まっているのか!?

正午がこのような手段をとったのは、永遠の男性恐怖症が、その家族関係にあるとふんだ為です。
永遠の家族は父親のみ。
しかも、その父親とは完全に没交渉となってしまっています。

物語の終盤で明らかになったのは、かつて新島家は強盗に押し入られており、当時警察に勤めていた父親の新島重文が、その強盗を正当防衛とはいえ殺してしまっています。
その際、現場を目撃してしまった永遠ですが、機械的にとった重文の対応があまりにもひどく、永遠は心に大きな傷を負ってしまいました。

父親を恐れる自分と、父親を愛する自分。

そんな相反する感情から、永遠は人を、男性を、そして何より現実を恐れ、アニメの世界に逃避していってしまったのです。
16歳という年齢ながら、高校に行くことも選択出来ないくらいに。

直感で問題の根幹に気が付いた正午は、自分を“お兄ちゃん”と呼ばせ、擬似家族を演ずることで、怖くない家族、そして男もいることを伝えようとしたのです。

その試みはある程度成功し、永遠は正午に心を許していきますが、如何せん時間が少なく、完全に払拭するまでにはいきませんでした。
また、再試験そのものも、男性恐怖症の永遠をさらに追い詰めるように、男性声優が多数詰めかけ、さらに永遠が演じる少女を恫喝するシーンでした。

永遠は最初、何も出来ず終わりかと思われました。
しかし、正午が永遠に絶対に味方であることを、永遠が声優を目指すきっかけとなったアニメのヒロインがとるポーズをとることで伝え、そのメッセージを受け取った永遠は、見事に役を演じきり、晴れて合格を勝ち取ることが出来たのでした。

少々ページが足りず、後半がかなり駆け足になってしまった印象もあります。
男性恐怖症でありながら、正午との打ち解け方は、その為不自然なくらいスムーズに進んだ気がします。

キャラクターに魅力は、さすが有沢先生の一言です。
こういったお話の主人公の常として、正午はお約束の鈍感野郎で、早くも永遠の好意を勝ち取るだけでなく、何故かはるかからもそんな気配を感じます。
今回は登場しませんでしたが、きっと学校のクラスメートにも、正午に好意をもったキャラが登場するでしょうね。
はるかの好意を敏感に感じ取った、永遠のむにゅうっとした雰囲気が可愛らしいです。イラストも神だったし。
熱い性格は、ともすればうざったく感じるものですが、正午のそれはからっとしており、好感が持てます。
超劇辛な食べ物が好きって設定は、強調されている割には活かされていませんでしたが。
アニメをほとんど見ないというのは、逆にアニメオタクの裕之助を登場させることで、無理なく状況設定を伝える一助になっています。

永遠は永遠で、美少女で男性恐怖症といった属性をもちながら、基本的に無防備でしょっちゅう正午をナチュラルに誘惑(?)しちゃっています。
こういった読者サービスは、ぜひ今後も強化していく方向で(マテ)。

はるかや舞も、1巻ではあまり活躍はしていませんでしたが、どうも今後の展開予測から考えますとどんどん活躍しそうです。
どちらも魅力溢れるキャラクターなので、ぜひぜひ頑張ってもらいたいです。

個人的には、永遠とはるかをフォーカスしていってほしいです。
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